« 2008年2月 | トップページ | 2008年4月 »

2008年3月17日 (月)

飛んで火にいる夏の虫ってやつよ

蚊取り線香入れ 「蚊やりブタ MSZ011」

国定忠治の無頼日記56   天保5年(1834)7月2日~25歳

半月あまりの間、悔しい思いをじっと堪えて来たけどよ、やっと、絶好の機会ってえやつがやって来やがった。

今日は境宿の市日で、伊三郎の野郎は大黒屋と桐屋の賭場の見回りに来るんだ。いつもなら、日が暮れる前に利根川を渡って、さっさと島村に帰っちまうんだけどよ、今日はそうはいかねえ。

今晩、世良田の長楽寺で日待ちの博奕が開かれるんだ。世良田の顔役たちが集まる博奕で、伊三郎としても顔を出さねえわけにゃアいかねえ。日が暮れてから始まる博奕に顔を出すからには、夜道を歩くって事になるわけよ。そこが狙い目ってわけさ。

軍師とよーく作戦を練って、伊三郎襲撃に選んだんは、手裏剣を使う三ツ木の文蔵、鉄砲打ちの名人の八寸の才市、弓の名人の甲斐の新十郎、念流の使い手の曲沢の富五郎、居合い抜きの山王道の民五郎、神道流を使う神崎の友五郎、槍を使う板割の浅次郎、そして、俺の8人さ。

他にもやらせてくれって奴は大勢いたけどよ、後の事も考えなきゃならねえ。もし、うまく行ったら、俺たちは長旅に出なきゃならねえし、伊三郎の子分どもが百々村に攻めて来るかもしれねえ。軍師を中心に、国定の清五郎、五目牛の千代松、保泉の久次郎、田部井の又八らに留守の事を頼んだんさ。

伊三郎の野郎が大黒屋に来やがったんは昼過ぎだった。供回りはいつもと変わらず、用心棒の永井兵庫、子分の中瀬の信三郎と荷物持ちの三下奴が二人だけだった。俺がおとなしくしていたもんで、伊三郎の野郎は何の警戒もなく、やって来やがった。飛んで火にいる夏の虫ってやつよ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年2月 | トップページ | 2008年4月 »