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2007年8月16日 (木)

境宿の小町は「高砂屋」のお常さ

春画 江戸の絵師四十八人 (別冊太陽)    春画 江戸の絵師四十八人 (別冊太陽)

国定忠治の無頼日記51     天保5年(1834)正月~25歳

去年の正月に「婀娜稲荷(あだいなり)」ってえ、面白えわ印(艶本)を売り出した歌川貞利が、今年も「開談遊女魔庫(かいだんゆめまくら)」ってえのを出しやがったぜ。

見てる分にゃア面白えんだけどな、題材が気にくわねえ。4年前に、お仙さんが首をくくった事件を描いていやがる。お仙さんがならず者に手籠めにされてる図とか、素っ裸で首を吊ってる図まで描いてあるんだぜ。まったく、お仙さんが可哀想だ。

俺ア、貞利ってえ絵師をたたっ斬ってやるべえと思ったけどよ、軍師に止められたんさ。

その貞利ってえ奴は、その頃は江戸にいて、事件の真相を知ってるはずがねえ。きっと、伊三郎の野郎が後ろにいて描かせたに違えねえって言うんだ。絵師は素人だ。素人を斬ったら、笑い者になるだけだってな。

軍師の言う通りさ。悪いのは伊三郎に違えねえ。俺はじっと我慢したんさ。

それによ、貞利って奴は美人絵もうまくって、「美人例幣使道」ってえのも売り出したんだ。例幣使道の各宿場を代表する素人の美女を描いてな、境宿の代表は足袋屋「高砂屋」のお常だったんさ。その美人絵が売り出されたら、男どもが、お常を一目見ようと大変な騒ぎになったぜ。うちの若え者も、お常の絵を眺めながら騒いでいやがった。

まあ、境宿が賑やかに栄えるのはいい事だ。お常を見に来た男たちは景気をつけるかって、「伊勢屋」の賭場にやって来てくれたからな。 

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