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2006年11月21日 (火)

鼠小僧次郎吉に会ってみたかったぜ

江戸の盗賊―知られざる“闇の記録”に迫る

国定忠治の無頼日記42     天保3年(1832)8月~23歳

まったく、今年はどうなっちまったんでえ。

桑が芽吹く頃になってよお、大霜が降りやがって、桑の葉っぱが全滅しやがった。お蚕さんが飼えねえって、村の者たちゃ大騒ぎよ。何とかしてやりてえが、こればっかしは俺にもどうにもできねえや。天に祈るよりほかアなかったぜ。

そしたら今度ア、梅雨になっても、雨がちっとも降りゃしねえ。日照りが毎日続いてよお、米が不作ときやがった。お陰で米の値が上がっちまって、もう少しで、暴動が起こりそうだったぜ。蔵持ちの旦那たちに頼んで、施しをやってもらって、何とか、騒ぎを鎮めたんさ。

養蚕はうまく行かなかったけどよ、絹市の方は盛ったぜ。物価が上がったんで、絹の値も上がって、絹糸の在庫を持っていた奴らは、儲かったって大喜びさ。喜びついでに、賭場に顔を出して遊んでくれるってえ寸法よ。

賭場の稼ぎはまあまあってとこよ。さすがに、女壷振りも飽きられたとみえて、伊三郎んとこの賭場にいたお北もいつしか消えちまった。俺んとこは、お辰が頑張ってやってるぜ。

そう言やア、お江戸の方で鼠小僧の次郎吉ってえ盗っ人が捕まったって噂が流れたっけ。何でも、大名屋敷に忍び込んじゃア銭を盗んで、貧しい者たちに配って歩いたってえじゃねえか。世の中にゃア、面白え奴がいるもんだ。捕まる前に会ってみたかったってえ思ったぜ。

天保・怪盗鼠小僧次郎吉      侠客 国定忠次一代記

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