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2006年7月 1日 (土)

弁天のおりん姉さんは粋な年増の別嬪さんよ

国定忠治の無頼日記36     文政13年(1830)10月~21歳

陽炎

円蔵さんのかみさんの弁天のおりんさんは想像していたよりもずっと別嬪だったぜ。こんな女渡世人がいたなんて、とても信じられねえ。円蔵さんもうまくやったもんだと感心したよ。

円蔵さんの考えで、顔を知られてねえおりんさんを島村の伊三郎んとこに送り込んで、敵の情報をつかもうって事に決まったんだ。おりんさんは子分になったお辰を連れて田部井村に隠れて、お辰に壷振りを仕込んだのさ。

おりんさんにみっちりと仕込まれたお辰は、10月の7日の市日に伊勢屋の賭場で初めて壷を振ったんだ。客たちは女の壷振りに驚いて、あっという間に噂は広まって行った。もう、溢れんばかりの客が次々にやって来て、いつもの倍以上の稼ぎになったんさ。うまく行ったとみんなで大喜びしたぜ。

それから10日後には国定村の赤城神社の秋祭りがあって、そこに出張って賭場を開いたんさ。そこは毎年、久宮一家が賭場を開帳してたんだけどよ、国定村でそんな真似は二度とさせねえ。奴らの殴り込みを覚悟してたんだが、奴らは何も言って来なかった。気負い込んでいたのに、肩透かしを食らわされて、まったく腹立たしかったぜ。

文蔵なんざ、イライラしながら、奴らが来ねえんなら、俺ア帰るぜって、お辰のいる百々村に帰っちまった。見ていておかしくなるほど、文蔵はお辰に首ったけなんさ。

でも、よく考えてみりゃア、久宮一家にとって、国定村の賭場なんざ、小遣い稼ぎみてえなもんだ。血を流してまで、守る程の賭場じゃなかったってえ事よ。まあ、お客さんたちが喜んでくれりゃア、それでいいんだけどよ。

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