« お町は村一番の器量よし | トップページ | てえへんだア、親分が‥‥‥ »

2006年4月20日 (木)

ぶったまげたぜ、お仙さんが‥‥

お仙さん

国定忠治の無頼日記29   文政13年(1830)7月17日~21歳

今日は市日だってえのに、新五の兄貴が出て来ねえんで、文蔵兄貴と俺は迎えに行ったんさ。

新五の兄貴の女はお仙さんていって、境宿で居酒屋をやってるんさ。ほんとに、色っぺえ、いい女だぜ。

「賭場の事も忘れて、兄貴はお仙さんとしっぽり濡れてるに違えねえぜ」って、俺たちはニヤニヤしながら戸を叩いたんさ。表が閉まってるんで、裏に行って声を掛けたんだが、返事はねえ。

戸を開けて中に入ってみると、うちん中はメチャメチャになっていやがった。シーンと静まり返っていて、人のいる気配はねえけど、何か変な臭いがしたよ。

「こいつアどうなってんだい」って俺が文蔵兄貴に言ったら、兄貴の奴、妙な声を挙げてひっくり返ったんだ。「大変だ」って兄貴の指差す方を見たら、何と、お仙さんが首をくくっていたんだぜ。俺も腰を抜かしそうだっよ。

お仙さんは髪をクシャクシャに乱して、目ん玉が飛び出して、口から血を流していたよ。着ている浴衣はクシャクシャになってはだけて、帯で首を吊っていたんだ。

まったく、ぶったまげたぜ。

部屋の様子から、お仙さんは何者かに手籠めにされたらしい。しかも、何人もの男にやられたようだった。それを知った新五の兄貴は仇を討ちに行き、その後、お仙さんは首をくくったらしい。どこに行っちまったのか、兄貴はいつになっても戻って来ねえんだ。

そして、次の日の朝、世良田のはずれで新五の兄貴の死体が見つかったんだ。

伊三郎の仕業に違えねえって思っても、証拠がねえ。俺たちが殴り込みを掛けべえって言っても、親分は許さなかった。下手に動きゃア、今の百々一家なんか簡単に潰されちまうって言うんだ。

畜生、悔しかったぜ。兄貴やお仙さんの仇も討てねえなんて、情けねえし、はらわたが煮えくり返っていたよ。おまけに、中盆の岩吉はてめえの女を連れて夜逃げしやがった。兄貴の二の舞を踏んで、てめえの女を手籠めにされるのを恐れたに違えねえ。まったく、情けねえ野郎だぜ。

|

« お町は村一番の器量よし | トップページ | てえへんだア、親分が‥‥‥ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/44960/1475666

この記事へのトラックバック一覧です: ぶったまげたぜ、お仙さんが‥‥:

« お町は村一番の器量よし | トップページ | てえへんだア、親分が‥‥‥ »