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2006年3月20日 (月)

俺ア腰を抜かすくれえに、たまげたぜ

腰抜け鳥

国定忠治の無頼日記.22   文政11年(1828)4月~19歳

昔の仲間を集めて、騒ぐんだんべって思ったのによお、嘉藤太んちはやけに静かだったぜ。

あの野郎、うちに寄ってくれって言ったくせに、遊びに行っちまったらしい。

それにしても、荒れ果てていた破れ家が、やけに綺麗になっていやがる。俺が帰って来たら、一家を張れるように直したって、前に富五郎が言ってたけど、どうやら本当らしいや。

留守だと思ってたら、「おう、よく来てくれたなア」って嘉藤太が顔を出したよ。みんなもそのうち集まって来るんだんべえと俺ア上がらせてもらったんさ。

嘉藤太の奴、嬉しそうにベラベラしゃべっていやがった。俺が立派な親分になるに違えねえって言いやがる。まったく、照れるぜ。そしてよお、急にお町の話なんかし出して、もし、お町が離縁して帰って来たらどうするなんて聞きやがるんだ。

そんな事アあるわけねえって俺ア言ったが、嘉藤太はニヤニヤ笑っていやがった。

もしかしてって聞いたら、お町は半年前に帰って来たって言うんだ。

俺アたまげたぜ。お町が戻って来たとは夢にも思わなかった。そういやア、うちを出る時、嘉藤太んちに行くって言ったら、お鶴の奴、行かないでって言いやがった。お町の事を知ってたに違えねえぜ。

嘉藤太の話によると、俺が百々一家の子分になった頃、お町は突然、名主んちに帰って来たらしい。帰って来てからずっと、うちに籠もりっきりで、嘉藤太にも本当の事はわからなかった。名主も世間体があるから、体の具合が悪くなって養生してるって言うだけで会わせてもらえなかったらしい。それが、この間、ひょっこり、嘉藤太んちにやって来て、すべてを打ち明けたんだそうだ。

なんと、離縁した理由は俺の事だってえじゃねえか。お町が俺に会いたくなって、離縁して帰って来たって言うんだぜ。俺ア腰を抜かすくれえにたまげたよ。

「奥の座敷で待ってるぜ」と嘉藤太は言いやがったよ。

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