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2006年3月 1日 (水)

畜生め、あいつの事を思い出しちまったぜ

お町

国定忠治の無頼日記.14   文政10年(1827)10月15日~18歳

百々(どうどう)村ってなア、国定村の南、2里半(約10キロ)ぐれえんとこにあってな、絹糸市で栄えてている境(さかい)の宿場のすぐ東隣の村なんだ。

百々村の紋次親分と言やア、境宿を仕切っている親分だって事ア知っちゃアいるが、あまりよく知らねえんだ。でもよお、栄五郎親分の兄弟分て言うからにゃア、大した親分なんだんべえ。

とりあえずは、紋次親分のとこで修行を積んで、俺ア一家を張る事に決めたぜ。久宮一家の奴らを国定と田部井から追い出さなきゃならねえからな。

木島村まで来た時、ふと、お町の事を思い出しちまったぜ。

嫁に行っちまってから、すっかり、忘れてたのによお、お町の顔が急に、はっきりと瞼に浮かびやがった。

百々村とお町のいる伊与久(いよく)村は1里と離れちゃアいねえ。もしかしたら、どっかで出会うかもしれねえ。

嫁に行ってから、もう2年半にもなる。

お町の奴、相変わらず、いい女だんべか‥‥‥ばったり出合ったらどうすんべえ。

俺アしばらく、からっ風の吹く中、ボケッと立ち尽くしていたぜ。

「馬鹿野郎、何を考えているんでえ」

俺アお町の未練を吹っ切って、百々村を目指したんさ。

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