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2006年2月 7日 (火)

あっしが惚れた、いい女なんでさア

お町

国定忠治の無頼日記.1   文政8年(1825)春~16歳

あっしの名めえは長岡忠次郎と申しやす。

人様は国定村のワルガキ忠治と呼んでおりやす。

日記なんざ、書くガラじゃねえが、長え月日が経つうちにゃア、あっしの事も忘れられちまうんで、ちょっくら、やってみまさア。

まず、最初に書く事といやア、お町の事でさア。

お町というのは隣村の名主んちの娘で、あっしが惚れた、まったくもって、いい女なんでさア。

そのお町の奴が、あっしの知らねえ間に話を決めて、嫁に行きやがった。

相手は伊与久(いよく)村の塾の先生だってよ。

まったく、つまらねえ奴ん所に行きやがったぜ。

こんな事になるんなら、去年の秋祭りん時、やっちまえばよかったよ。

あいつの兄貴に嘉藤太(かとうた)って野郎がいるんだが、あの野郎が、俺の悪口をお町に言いやがって、お町もそいつを信じて、俺に会おうとしなくなっちまった。

畜生め、嘘八百を並べ立てて、大げさに言ったに違えねえぜ。

あの野郎がいなかったら、うまく行ってたのによお。

花嫁行列に踏み込んで、お町をかっさらってやろうと思ったが、またもや、嘉藤太の野郎のお陰で、いい恥をかいちまったぜ。

俺の嫁にするつもりだったのによお、まったく、勿体ねえ事をしたもんだ。

あんないい女は滅多にいねえよ。

おめえさん方にも見せてやりてえが、残念ながら、写真はねえ。

180年後のおめえさんたちにわかるように絵に描いたら、こんな感じだんべ。

まあ、じっくりと見てやってくんねえ。

 侠客 国定忠次一代記

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