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2006年2月23日 (木)

俺ア思わず、抱きしめたのさ

お鶴

国定忠治の無頼日記.12   文政10年(1827)秋~18歳

やっと、うちに帰って来たんだけどよお、やっぱり、敷居が高えや。

俺アわざと何でもねえような振りをして、「腹、減ったぜ」と言いながら、お勝手に入って行ったのさ。

お袋お鶴が飯の支度をしていたよ。

俺の顔を見て、二人とも鳩が豆鉄砲くらったような面をしていたよ。

二人の顔を見たら、胸が熱くなって来てな、目が潤んできやがった。

「今、帰ったぜ」って俺は笑ってごまかしたんさ。

お袋の奴、俺の顔を見つめたまま涙を拭いて、「よう帰って来た」って何度も何度も言っていた。

「お父に知らせてやんべえ」って仏壇の方に向かった時、やけに小さくなっちまったなあって思ったぜ。

苦労をかけて、すまなかったって俺ア心の中で詫びたんさ。

お袋がいなくなったら、お鶴が、「何で、あんな事をしちゃったのよ」って泣き出しやがった。

お鶴も少しやつれたように見えたが、やっぱり、いい女だったよ。

俺ア思わず、お鶴を抱きしめたのさ。

一年振りのお鶴はやけに優しかったぜ。帰って来て、本当によかったって実感したねえ。

その夜、お鶴を抱きながら、もう二度とお鶴を離さねえって誓ったんさ。そして、お鶴のために、堅気に戻って、やり直してみようって俺ア考え直したぜ。

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