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2006年2月10日 (金)

長脇差は血で真っ赤に染まっていやがった

国定忠治の無頼日記.4   文政9年(1826)秋~17歳

畜生、やっちまったぜ。

お鶴の奴と喧嘩して、ムシャクシャしながら、うちを出たんだ。

自然と足は隣村の嘉藤太んちに向かってたぜ。奴にゃア、会いたかねえが、久し振りに博奕を打って気晴らししようって思ったんだ。

意気込んで行ったんだが、賭場が開かれてる様子はねえ。やけに静かだったぜ。十歳位のガキが留守番していて、嘉藤太は草津の湯に遊びに行ったと抜かしやがった。

まったく、いい気なもんだぜ。

仕方がねえからよ、又八んちに行って、酒でも食らったのよ。

酒飲みゃ、出て来るのはお鶴に対する愚痴だア。又八相手にお鶴の悪口言ってたら、表がやけに騒がしくなって来やがった。

又八を見にやったら、名主んちに3人のならず者が押し入って、佐与松の野郎が斬られたってえじゃねえか。

俺ア、カアッとなってな、又八から長脇差(ながどす)を借りるとすっ飛んで行ったのよ。

名主んちの前は野次馬がいっぺえいやがった。又八が見物人を押し分けて、俺は庭に入った。

血の跡があったが、佐与松の姿はなかった。

縁側に遊び人風の男が3人いて、名主が頭を下げていやがった。

俺は構わず、奴らに近づいて行ったんだ。

こっちから声を掛けたのか、向こうから掛けて来たのか覚えちゃいねえ。

相手の長脇差が頭上できらめいて、斬られると感じ、必死になって斬りかかって行ったような気がする。

グサッという鈍い音がして、奇妙なうめき声がして、あったけえもんが顔に掛かって来た。まるで、「椿三十郎」みてえに、血が吹き出しやがった。

「やめろ!」って誰かが叫んでいて、その声で我に返ったら、手に持った長脇差は血で真っ赤に染まってたんさ。

なぜか、本間道場の師範代が側にいて、いつの間に逃げたのか、血を出して倒れている奴の仲間はいなかった。

倒れている野郎は白目を剥いて死んでいやがったよ。

大変な事をしちまったって思ったが、もう後戻りはできねえ。

椿三十郎

俺ア、人を殺しちまったんだ。

見物人はいっぺえいるし、逃げる事もできねえ。

まったく、どうしたらいいのかわからなかったぜ。

師範代がとりあえず、本間道場に行って隠れてろって言うんで、言われる通りにしたよ。

畜生、どうして、こんなふうになっちまったんでえ。

椿三十郎

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